あの高価な「Microsoft Office(以下MS Office)」にだって、対抗できる、無料のオフィスソフトが存在します。
それは「OpenOffice」という名で、Sun Microsystemsが公開したStar Suiteのソースコードを元に、オープンソース(プログラムの元を公開して、みんなで作っていこうという趣旨)で制作されて いるオフィスソフトです。
OpenOfficeにはWindows・Linux・Solaris・Mac版があって、ワープロの「Writer」、表計算の「Calc」、プレゼンテーションの「Impress」といったフィスツールと、それらの補助的な数式エディタの「Math」、画像編集ツールの「Draw」、さらにホームページ作成ソフトの「HTMLEditor」が含まれています。
しかもこの「OpenOffice」は、MS Officeとデータファイルの互換性があって、Office97/2000で作られたファイルを読み書きすることができます。officeXPも、2000とほとんど変わらないため、公式にサポートされていないものの、問題なく読み込めます。
互換性について詳しいことは、こちらのOpenOffice.org
ユーザーのためのMicrosoft Office 互換性研究室をご覧になってください。
OpenOffice.org
日本ユーザー会 (ミラーサイト、こちらの方が推奨だそうです)という、ユーザーの互助組織のような物があって、色々な情報やユーザーが製作された文書データなども沢山あります。詳細は、そちらの方をご覧ください。
先日、最新バージョンの1.1.0がリリースされて、それまで大きなハードルであった、日本語化が難しかったり禁則がきちんとできなかったりする問題が、解決されています。詳しい改善点はこちらのOpenOffice.org1.1.0の改善点および不具合をご覧いただくと分かりますが、つまりは、普通にインストールしてすぐに使えるソフトになったということです。
それでは早速インストールしてみましょうか。日本ユーザー会のダウンロードページで並んでいるミラーサイトの中から、日本語バージョン(日の丸の付いている物)を選び、どこでも好きなところを選んでダウンロードします。慶応大学のサイトが、公式ミラーサイトということになっているようです。.zipファイルの形式の方が解凍も簡単だと思います。70MB程ありますので、ダイアルアップの人は、知り合いに貰ったり、付録CD−ROMに入っている雑誌でも買った方がいいかもしれません。
無事ダウンできたら、解凍して中にある「setup.exe」を実行するだけです。インストーラも日本語なので、なんの問題なくインストールができます。
具体的なインストール方法と、基本的な文書の作成方法は、zipファイルを解凍してできたフォルダにある、「SETUP_GUIDE.pdf」というファイルに詳しく書かれていますので、必ずご覧になってください。また、こちらのページには、はがきの宛名印刷や差し込み印刷の方法などのtipsが載っています。
それではひとつずつ比べていきましょうか。
まず「OpenOffice
Writer」(MS-OfficeではWORDに相当)ですが、単体として見た場合、実用性は充分です。WORD95くらいの表現力はあると思います。
ですから、1から文書を作っていくなら、日常でもビジネスでも、まったく問題はないのではないでしょうか。
ただし、文書の互換性になると、OpenOfficeの数あるソフトの中で、1番のダメダメさんです。
ちょっと複雑なレイアウトになると、とたんに再現性が崩れてしまいます。
以下、Officeの比較に使っている画像(の元になった文書ファイル)は、大阪府のHPで、
電子調達システムの「ダウンロードコーナー = 資料集」のページにある文書ファイルから、
比較しやすい見栄えの良いものを適当に選んでいます。
以下、画像はクリックすると1024X768のサイズの画像が表示されます。
このように、ページが違ってきてしまうので、修正しないといけませんし、修正したら今度はWORDで続きをやろうとすると、またそこで修正しなければならないわけです。
ただ、上にも書いたように、例えば全社でOpenOfficeを使うようにしていたり、すべてをこれでまかなうような状況なら、これは問題にはならないわけです。
表計算の「OpenOffice Calc」は逆にMS-Office(対応するのはExcel)との互換性は素晴らしいものがあります。ほとんどExcelで作成したイメージ通りに表示させることができます。
ご覧のように、ほとんど見た目は変わりません。単体の表計算ソフトとしても、充分以上な出来だといえます。関数もほぼExcelと同じものが使えます。
ただし、マクロに関しては、VBAマクロはほとんど使えないようです。VBA自体がマクロというよりも、ベーシックの言語みたいなところがありますし、著作権的に難しいのでしょうか。
その代わりというのでしょうか、JAVAをサポートしていて、スクリプト言語は、こっちでやってくれという考え方のようですね。
プレゼンテーションソフトは「OpenOffice Impress」ですが、なんと富士通のデスクパワーには入ってないんですね。ということはOpenOfficeの不戦勝ってことでしょうか。
こちらは、英語版(というか本家)のPowerPointとの互換性は充分だそうです。
ただし、日本版PowerPointは、英語版からだいぶ拡張されて色々違うみたいなので、その分は微妙に再現性にも影響しているようです。
ただアニメーション効果や背景画像などはきちんと表示されるので、基本的には問題ないっていうところでしょうか。下のように、比べてみても、全く変わらないように見えます。
数式エディタと図形エディタのDrewは、それぞれMS-Officeの付属ソフトと同程度の機能だと思います。
HTMLエディタは、FrontPage Expressよりちょっとマシ、というレベルでしょうか。今インターネットエクスプローラの5.5以上だと、FrontPage
Expressは付属していないんですよね、その意味では、付加価値は高いですね。
以上、総合すると、「OpenOffice」の長所として、
◎小さい&軽い(といっても70MBもあるんですが)
◎システムを汚さない。(Windowsのシステムファイルを上書きしたりしない)
◎プレゼンソフトとホームページ製作ソフトが付いている。
◎無料ソフトで、自由に誰にでもソフト自体をコピーして配って良い。
というのがあると思います。特に、インストール時にシステムファイルを上書きしないというのは、Windows9X系を使っている場合には大きいんじゃないでしょうか。最新の環境にMS-Office97をインストールしたら、システムファイルが5年前のもので上書きされてしまいます。これじゃトラブルが起きない方がおかしいって感じですね。
自由に配布してよいのですから、MS-Officeとの互換性なんか考えずに、作成したファイルと一緒に「OpenOffice」のプログラム自体を相手にあげてしまう、という作戦はいかがでしょう。そうすれば、間違いなく作った通りの文書が相手先でも表現されます。
上記の他に、MAC版もLinux版もありますので、将来的にマックやLinuxパソコンに乗り換えても、そのまま使い続けられる、というメリットもあります。
逆に短所としては、
●MS-Wordに対して、フォント関係の互換性が低く、それが原因でレイアウトが崩れる。
●マクロやVBAはダメ。
●他にユーザー会のホームページにFAQ集があります。
という所でしょうか。互換性を考えず、みんなでOpenOfficeを使う事にすれば、だいぶ問題は減るんですが。フリーソフトで無料であるということは、それが簡単にできるということですし。
オープンソースということで、世界中の有志が日々改良に当たっています。速度は遅いのですが、数年後はどうなっているか、とても楽しみなソフトではあります。
現状の評価として、「OpenOffice」の負け、とされるのは仕方のないところでしょう。それでも、Office97以前のものを使っている人、友人や会社のMs-Officeを家庭に持ち帰ってコピーして使っている人(ソフトの契約違反行為ですよ)は、乗り換える価値はあると思いますし、Officeソフトをなにも持っていない人は、今すぐインストールしてみる値打ちはあると思います。
以上、将来に期待しつつも、現状では、MS-Officeの勝ち! という評価にしました。
使える度 |
|
||
付属ソフト | を星3つとした場合 |
このページは、音楽のGIF素材サイト-Tutti Club♪
の素材画像ファイルを使っています。